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上平 明弘; 鵜飼 重治; 水田 俊治
JNC TN9400 2000-023, 126 Pages, 2000/02
サイクル機構が高速炉炉心材料として開発した改良SUS316鋼、および15Cr-20Ni鋼の照射クリープ特性については、MOTA材料照射データを用いて評価が行われ、照射クリープ歪み式が策定されている。しかし、海外炉心材料の評価報告において、材料照射データに基づいて作成された照射クリープ歪み式では燃料ピンの照射クリープ変形を適切に評価できない可能性が示されている。そこで本報告では、改良SUS316鋼および15Cr-20Ni鋼それぞれを被覆管とするMFA-1,2燃料照射データを用いて照射クリープ特性の評価を行い、さらに、MOTAデータに基づき策定された照射クリープ歪み式の燃料ピンへの適用性について検討を行った。得られた主な結果は次の通りである。1.MFA-1,2データに基づき算出した照射クリープ歪み式における照射クリープ係数「B0」は5.615.010のマイナス6乗[(10の26乗n/mの2乗,E0.1MeV)のマイナス1乗(MPa)のマイナス1乗]であり、MOTAデータから得られた「B0」の値2.26.410のマイナス6乗に比べて大きい傾向にあるが、海外材料について報告されている値の範囲には十分含まれている。2.MFA-1,2データから照射クリープ歪み式におけるスエリング相互作用項の係数「D」を求めた結果、スエリング速度が増加するにつれて「D」は減少する傾向が見られた。MFA-1,2データから求めた「D」の値の範囲は、MOTAデータから得られた「D」の値3.88.210のマイナス3乗[(MPa)のマイナス1乗]、および海外材料の評価値を含んでいる。3.MOTAデータに基づき策定された照射クリープ歪み式を用いてMFA-1,2燃料ピンの照射クリープ変形を評価した結果、MOTAデータに基づく照射クリープ歪み式により燃料ピンの照射クリープ変形を概ね適切に評価できると考えられる。
上羽 智之; 鵜飼 重治; 浅賀 健男
JNC TN9400 2000-006, 50 Pages, 1999/11
高速炉の被覆管は照射によってスエリングするが、被覆管温度の肉厚方向勾配によってスエリングに肉厚方向差が生じ、被覆管に二次応力が発生すると考えられる。燃料高燃焼度化に伴い被覆管のスエリングが顕著になると、このような二次応力が燃料ピンの健全性に影響を及ぼす可能性がある。本研究では、スエリング肉厚方向勾配を取り入れた被覆管の照射変形解析を有限要素法解析コードFINASを用いて実施し、この二次応力を評価した。その結果、以下のことが分かった。(1)スエリング肉厚方向差による二次応力は、主としてスエリングの潜伏期間の肉厚方向勾配によって発生する。この二次応力はスエリングで促進される照射クリープによって照射末期には十分緩和される。(2)試行的に二次応力を含めた照射中の被覆管応力計算値の最大値をPNC316の設計引張強さと比較した結果、前者は後者を十分に下回った。(3)応力依存性を考慮したスエリング式を用いて、被覆管の応力がスエリングを促進する場合の二次応力を解析した。その結果、応力によってスエリングは促進するが、同時に照射クリープによる緩和が有効に働き、スエリングに応力依存性が無い場合と到達応力レベルには差がない。